あの人この人の人生 6
シャネルは詩人のピエール・ルヴェルディとよりを戻し、公爵にしてみれば、これはあまり快い出来事ではありませんでした。
これほど世間の注目をあびた恋の結末をつけるには、涙よりは政治的手腕が必要だったのはシャネルの方です。
手を切ったのは彼女であり、同時にこの恋がまだ長くつづいていると思わせる必要がありました。
彼との恋はなんといっても社会的に有利な状況をつくったのだから、一挙にくずすことはできません。
ねたみ心で手ぐすねひいて待っている連中のえじきには決してならないためにも、そこはうまく切り抜けなければならず、公爵がパリにやって来る時は、いつものようにシャネルをおとずれる仕組みにしなければなりません。